乳幼児に多いRSウイルス感染症は、ほとんどの子供がかかる一般的なウイルス性感染症ですが、重症化すると細気管支炎や肺炎に進行したり、乳幼児突然死症候群(SIDS)を引き起こす原因の一つとも考えられており、注意が必要な感染症です。
RSウイルス感染症とは一体どんな病気なのか、原因や症状、治療や予防について解説します。
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RSウイルス感染症とは
RSウイルス感染症がどんな病気かについて説明します。
RSウイルス感染症は、冬から春にかけて流行し、2歳頃までにほぼ100%の子供がかかるといわれている病気です。
感染力は非常に強く、一度かかってもくり返し感染しますが、回数がふえるほど症状も軽くなり、2歳以上では「鼻かぜ」程度ですむことがほとんどです。
ただ、乳幼児では下気道炎や細気管支炎を起こしやすく、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因の一つとも考えられているので楽観視しすぎるのは禁物です。
喘息や心疾患を持っている子どもでは特に重症化しやすく、持病を悪化させる可能性があるため注意が必要です。
RSウイルス感染症の原因
RSウイルス感染症の原因です。
RSウイルスの感染は、飛沫感染と接触感染の2経路があります。
飛沫感染では、感染した人の咳やくしゃみが体内に入ることで感染し、鼻や咽頭の粘膜で増殖します。
接触感染では、鼻水や痰に含まれるRSウイルスが皮膚や衣服、手などについて目や鼻やのどの粘膜と接触することでうつります。
潜伏期は2~8日で、症状が現れる前でも感染することがあり、また症状が消えてからも1~3週間は感染する力をもつ、非常に感染力の強いウイルスです。
RSウイルス感染症の症状
RS感染症の症状です。
風邪の時にみられる、熱、鼻水、咳などの症状があります。
2歳くらいまでにほとんどの子供がかかりますが、初めてかかった乳幼児の場合は鼻水から始まり、その後38~39度の発熱と咳が続きます。
喘息のような苦しそうな咳と喘鳴(ぜいめい)があり、治りにくいため長期にわたって症状が続くのが特徴です。
重症化が心配なケース
胎内で母親からもらった免疫がなくなる3~6ヶ月ぐらいの乳児は、免疫力が弱く重症化しやすいので特にこの時期の感染は注意が必要です。
RSウイルスに初めて感染した子供の25~40%の乳幼児が、細気管支炎や気管支炎、肺炎を起こすといわれています。
再感染の場合は細気管支炎や肺炎などは減り、上気道炎が増える傾向がありますが、再感染は一般的に症状は軽いようです。
中耳炎を合併することもあります。
・急性細気管支炎
細気管支炎による喘鳴が特徴で、喘鳴を伴う呼吸困難の症状(ゼイゼイ、ヒューヒュー)を示します。
唇が黒っぽい、顔色がわるいなどチアノーゼの症状がみられるときや、呼吸数に注意しましょう。
呼吸数は通常1分間に40回程度ですが、60回近くなると要注意と言われています。
・乳幼児突然死症候群(SIDS)
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気のことをいいます。
乳幼児突然死症候群の死亡事例でRSウイルス感染が確認されることもあり、乳幼児の体調急変や突然死の原因の一つではないかとも考えられるウイルスなのです。
RSウイルスは大人もかかる!
RSウイルスは大人もかかる可能性があります。
RSウイルスには大人になるまで何度もかかっているため、大抵の場合は鼻かぜ程度の軽い症状で済むことがほとんどです。
ですが、抵抗力の弱った高齢者や、他の病気を発症している人などが感染すると重症化しやすいので気を付けなくてはなりません。
RSウイルス感染症の治療と予防
RSウイルス感染症の治療と予防についてです。
RSウイルスには特効薬はなく、熱などの対症療法が中心になります。
水分補給・睡眠・栄養・保温を十分にして、安静にしながら自然に回復するのを待ちます。
予防は、感染した子供が触れたおもちゃや手すり、ドアノブなどの消毒や、手洗いうがいなどでウイルスを体に入れないことが重要です。
流行している時期に生後6ヶ月未満の乳児を連れて外出をする場合には、人ごみを避けるなどの注意が必要です。
RSウイルスは消毒液に弱いので、次亜塩素酸ナトリウム(ミルトンなど)、消毒用アルコール、ポピドンヨード(イソジンなど)を使うことも有効です。
RSウイルス感染症のまとめ
RSウイルス感染症は誰でも何度でもかかる可能性のある、珍しくない病気です。
でも、月齢や年齢が低いほど、また体力や抵抗力の低い乳幼児ほど、感染した時に重症化するリスクは高いので気をつけなくてはなりません。
手洗いやうがい、消毒をすることや、赤ちゃんのうちはむやみに人ごみの中に連れて行かないことなど、感染リスクをできるだけ避け、同時に強い体作りを目指すこともまた大切ですね。
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