2017年5月24日のガッテン!は「筋肉!血管!免疫!カラダを丸ごと強化しようSP」として、介護要らずの元気な体でいるために必要な栄養素を特集します。
骨折のリスクや、心筋梗塞や肺炎の予防のために決定的に大事だといわれるその栄養素について、詳しく解説します!
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もくじ
高齢者に不足しているのはズバリ「タンパク質(プロテイン)」
高齢者に不足している栄養素、それは「たんぱく質(プロテイン)」です。
たんぱく質は、私たちの骨や筋肉、血管など体の土台を構成している重要な栄養素です。
年々増加する高齢者のためのサービスとして、食事の宅配サービスが注目されていますが、高齢者のたんぱく質不足の深刻化を受けて、国でも本格的にこの問題の対策に乗り出しています。
というのも、高齢者の栄養失調や低栄養が深刻な状態にあるためで、2014年に行われた国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、低栄養状態にある65歳以上の高齢者の割合は全体の約18%にも上ると報告されているのです。
厚生労働省は、家庭向け宅食サービス業者に向けた、自宅で暮らす高齢者の栄養管理を支援するガイドラインの作成に本格的に取り組んでいます。
低栄養とは
低栄養とは、健康的に生活するために必要な量のカロリーや栄養素が食事などから十分に摂取できていないことをさします。
厚生労働省作成の介護予防のチェックリストによれば、次の2つのポイントから低栄養を割り出しています。
- 6か月間の体重減少
- BMI(体重kg÷身長mの2乗)
さらに言うと、栄養素の中でも特にたんぱく質が、高齢者に特に不足していることがわかりました。
たんぱく質が不足すると、骨折のリスクが高まったり、心筋梗塞や肺炎などの危険性が大きく上昇します。
免疫力も弱くなり、感染症にかかりやすくなります。
たんぱく質不足はどうやって判断できる?
たんぱく質不足は血液検査によって知ることができます。
血液検査で「アルブミン」という数値がありますが、アルブミンの値で栄養状態を知ることができます。
アルブミンは肉や魚などのたんぱく質をもとに体内で生成される物質で、筋肉や血管、免疫機能に不可欠な成分です。
アルブミンが減ると、筋肉が落ちたり、血管が脆くなったり、免疫機能が低下したりして、ケガや病気をおこしやすくなってしまうのです。
また、認知症の前段階である認知機能の低下リスクが、アルブミン値が低い人は正常な人よりも約2倍、心筋梗塞や脳卒中のリスクは約2.5倍にも上るといいます。
心筋梗塞を改善するタンパク質「MFG-E8」
タンパク質は心筋梗塞の予防にも役立ちます。
心筋梗塞とは、動脈硬化によって心臓に酸素や栄養素を運ぶ冠動脈が詰まってしまうことで発症し、心臓の細胞が死んでしまう病気です。
死んだ細胞が増えれば増えるほど、そこから有毒物質が放出されて炎症が悪化し、病状がどんどん深刻化していきます。
そこで、人間の免疫機能では、死んだ細胞を掃除するための「貪食細胞」が働いて症状の悪化を阻止していますが、この貪食細胞の働きを促進するのが「MFG-E8」というタンパク質だということが、九州大学の研究により発表されました。
肺炎を予防するタンパク質「レクチン」
高齢者の死因の中でも上位を占める肺炎も、タンパク質の摂取で予防することができます。
それは、豆やじゃがいもなどに多く含まれる「レクチン」というたんぱく質です。
レクチンは、細胞膜の表面にある糖たんぱく質や糖脂質と結びつき、その細胞の機能を活性化させ、免疫力を高める働きがあります。
このようなレクチンの性質から、疾患マーカーとしての役割も期待されており、プロテインマーカーとしての働きが期待される成分です。
体に侵入した菌やウイルスなどの増殖を防ぎ、免疫機能を活性化させるほか、赤血球をかたまらせる働きもあることから植物性赤血球凝集素ともよばれます。
肺炎は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎球菌などが肺に感染して起こる炎症による病気ですが、レクチンの摂取が肺炎の予防や改善に効果的だといわれています。
また、レクチンの働きの一つ、複数の細菌の集合体であるバイオフィルム形成を阻害する働きを利用して、高齢者に多い誤嚥性肺炎を予防するための口腔ケアグッズなども実用化されているそうです。
血管をしなやかに保つタンパク質「コラーゲン&エラスチン」
お肌にいい成分として有名なコラーゲンやエラスチン、実は血管の構成成分でもあるのです。
血管の壁は、コラーゲン繊維にエラスチンが網目状にグルグル巻きついて作られており、プロテインワイヤーと呼ばれるのもその構造に由来しています。
コラーゲンやエラスチンが劣化すると血管の弾力性も失われてしまいます。
血管が固くなると動脈硬化を引き起こし、脳卒中や脳梗塞を引き起こす原因になります。
コラーゲンやエラスチンを多く含む食べ物は、牛すじや手羽先、軟骨などの肉や魚、つまりたんぱく質食品です。
若返りタンパク質「ヒートショックプロテイン」
傷ついた細胞を修復するヒートショックプロテイン(HSP)は、アンチエイジングに働きかけるタンパク質です。
別名、熱ショックタンパク質ともよばれます。
細胞修復の他、免疫力を高めたり炎症を抑えたり、コラーゲンの減少を抑えたり、疲労のもととなる乳酸の発生を遅らせる働きもあります。
ヒートショックプロテインは、タンパク質ではありますが、食事から摂取するものではなく、運動や入浴によって体内で生成されるものです。
ヒートショックプロテインを増やす入浴法については、別記事で紹介していますのでそちらも参考にしてみてください。
タンパク質を効率よく摂るコツは?
たんぱく質を豊富に含む食べ物は、肉や魚、大豆や大豆製品です。
たんぱく質を多く含む食品を食べることはもちろん、間食にたんぱく質をとることも有効的だと考えられています。
まとめ
高齢者のタンパク質不足解消は、健康長寿につながり本人や家族のためになるだけでなく、介護負担の軽減など私たちみんなに関わってくる重要なテーマです。
老化とは、骨・血管・筋肉が衰えることです。
老化を予防するためには、タンパク質を十分に摂取することが大切なカギとえいるでしょう。
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