学習障害(LD)は、周囲が気づきにくく本人も病気だと自覚していないことも多い難しい発達障害です。
わが子の学習障害を疑ったら、どのように診断されどのような治療を受けるのかについて解説します。
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学習障害(LD)とは
学習障害(LD)とはどういう障害か説明します。
学習障害とは発達障害の一つですが、知的発達に遅れがないのが特徴で、聞く・読む・書く・計算するなどの分野の習得や使用に困難を生じます。
学習障害を抱える子は、全体の2~3%の割合でみられます。
つまり、クラスに30人いたらそのうち1~2人存在するということになります。
勉強ができない、何度言っても理解しない、特定の教科だけ著しくできないなどの場合は、もしかしたら本人のやる気や努力の問題ではなく、学習障害なのかもしれません。
知的発達は問題ないことが多いので、親も含めて周囲はそれが障害だとは気づきません。
本人も、苦しい思いをしながらも自覚がない場合が多いです。
芸能人や有名人でも、学習障害を公表されている人がいます。
スティーブン・スピルバーグ監督はディスクレシア(読字障害)を抱え、本や脚本を読むのに普通の人の2倍の時間がかかるそうです。
ハリウッド俳優のトム・クルーズさんも同じく失読症で、映画の台本は他人が読んで録音したものを記憶してセリフを覚えているそうです。
日本でも、ミッツ・マングローブさんが学習障害を告白しています。
彼女(彼?)は暗記が困難で、何かを覚えるときは絵と音を使うそうです。
「教科書を覚えるときは、人物の顔に落書きをしたり、どこかに線を引っ張ったりして“自分用の景色”を作っていました」と雑誌のインタビューで答えていましたが、慶応大学の法学部を卒業し、英国留学経験もある聡明な方ですよね。
彼らは学習障害を抱えながらもそれを克服し、今では素晴らしい活躍をされている方たちですが、やはりこの障害ゆえ学生時代はつらく苦しいものだったといいます。
学習障害に気づかないまま、または放置したままにすると、勉強がわからなくなりそれが原因でいじめられたりすることもあるようです。
ただでさえ本人は苦しいのに、その苦しみがさらなる苦しみを生んでしまうなんて、親としてはいたたまれないですよね。
わが子の障害を認められない、認めたくない親はまだまだたくさんいます。
ですが、早く気付いて適切な対処をすることで改善することもあるし、周囲に理解されることは本人にとっても非常に生きやすくなるのです。
親が学習障害を正しく理解することは、子供の人生を左右する責任と義務です。
学習障害の症状
学習障害の症状について説明します。
学習障害は、中枢神経系に何らかの機能障害があることが原因なのではないかといわれています。
つまり、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因とはならないということです。
もちろん、育て方も関係ありません。
この障害の特徴は、特定の能力にのみ障害があり、他の能力は正常だということです。
例えば、算数の問題や計算は誰よりも早くできるのに、読み書きが全くできない、というかんじです。
学習障害児にみられる主な症状は、言語能力の困難、読字・書字の困難、算数・計算の困難、推論の困難、暗記の困難などがあげられます。
中でも特に多い、3つについて詳しく解説します。
ディスレクシア(読字障害)
文字を読む能力に困難を示す症状がみられます。
よく似た文字(ソとン、シとツなど)が理解できなかったり、文章を読んでいるとどこを読んでいるのかわからなくなってしまったり、文字が反転して見えたり、逆さに読んでしまう、読んでも内容が理解できないなどの症状がみられます。
ディスグラフィア(書字障害)
文字を書くことに困難を示す症状がみられます。
黒板の文字を書き写すのが難しい、鏡字になってしまう、作文が書けない、句読点が理解できないなどの症状がみられます。
ディスカリキュア(算数障害)
数字を理解できず算数や推論に困難を示す症状がみられます。
数字や記号を理解・認識できない、簡単な計算が出来ない、繰り上がりや繰り下がりが理解できない、数の大小の関係が理解できないなどの症状がみられます。
「うちの子、もしかしたら」と感じたときに親がすべきこと
もし子供に学習障害の症状がみられたら、どんな対応をしたらよいのか説明します。
学習障害は、文字の読み書きや算数を習い始める小学生以降でないと発見するのは難しいといわれています。
さらに、低学年の場合だと年齢相応の「苦手」と区別がつきにくいため判断しづらいところですが、ここはママが宿題や普段の学習の様子をよく観察し、学校の先生からの情報と照らし合わせて見守っていくことが大切です。
初めから「苦手」を「障害」だと自己判断で決めつけてしまうと、子供を傷つけてしまうこともあります。
障害かどうかの評価・判断は専門家が慎重に進める必要があるので、もし学習障害が疑われるような症状がみられる場合には、まずは地域の保健センターや子育て支援センターなどに無料の相談窓口があるので、そこに相談に行きましょう。
子供の個別相談にも応じてくれ、必要であれば専門の医療機関や療育なども紹介してもらえます。
参考までに、全国の発達障害専門医の一覧をのせておきますね。
診断は、家族歴や成育歴、既往症などの問診と、脳波検査、頭部のCT・MRIの検査と、知能検査や認知能力検査などの心理検査を総合して行います。
学習障害と診断されたら
学習障害と診断されたら、親はどのようなことをしたらいいのか解説します。
診断の結果、学習障害だとわかってもどうか落ち込んだりしないでくださいね。
勉強ができないのが障害だとわかれば子供も自信を取り戻せること、適切な療育訓練を受ければ子供も楽になるし、むしろ今発見できたことに感謝するくらいの気持ちでいましょうね。
では、学習障害児の療育訓練とはどのようなものなのでしょうか。
まず、療育訓練を受けるためには、お住いの市区町村の役所で児童発達支援給付費等支給申請を行います。
手続きすると、受給者証が発行され、療育訓練の費用の補助が受けられるようになります。
療育訓練を受ける場所は、地域の療育センターやNPO、学習塾などが運営している療育センターなど、さまざまです。
通いやすい場所や雰囲気など、いくつかの施設を見学して決めたいですね。
療育訓練の内容は、言語聴覚療法・作業療法・理学療法などの訓練や視覚支援を使った支援、家族に対する教育・啓発などを集団や個別で行っていきます。
こうして適切な支援を継続して受けることにより、わかる・できるなどの成功体験を得ることで自信につながり、自立を促していくのです。
また学校生活も、特別支援学級への通級などが必要になるため、診断されたらすぐに学校の先生と連携を取って子供をサポートしていきましょう。
まとめ
学習障害は病気ではなく、その子の個性です。
現代では少しずつ認知が広まってきましたが、少し前までは学習障害そのものが一般的に知られていなかったために苦しんできた人たちも大勢います。
大人になってから発覚し、「今までの生きづらさは学習障害だったのか」と後からわかる場合もあります。
もし学習障害であるならば、早期発見と早期対応で本人のつらさを軽減し、その子が自分らしく成長できるように精一杯のサポートをしてあげたいですね。
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