NHK「チョイス@病気になったとき」の2017年3月11日のテーマは「腎臓を守る」です。
腎臓の機能は、低下してしまうと元に戻らないうえ、進行するまで自覚症状はないといわれます。
チョイスでも取り上げられている、早期発見のための血液検査や腎臓を守る食事について、マミィの視点から考えてみたいと思います。
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腎臓のはたらき
腎臓は、腰のあたりに左右対称に2個ある、握りこぶしくらいのソラマメ型をした大きさの臓器です。
その働きはとても重要で、老廃物を排出したり血圧を調整したり、血液を作る指令を出したりする役目をしています。
どれも生きる上でなくてはならない機能ですが、とくに重要なのが老廃物を排出するための「おしっこ」を作る機能です。
腎臓は血液をろ過して、必要なものといらないものとに分けます。
必要なものは吸収されて再び血液に戻りますが、いらないもの(老廃物や塩分など)を尿(おしっこ)として排出します。
だから、腎臓がちゃんと働かないと、老廃物や毒素がどんどん体にたまっていってしまい、病気になるのです。
また、腎臓は塩分と水分の排出量をコントロールして血圧を調整する働きをしています。
ただ塩分と水分の排出量をコントロールするだけでなく、血圧を維持するホルモンを分泌することによっても血圧を調整しているのです。
血圧だけでなく、身体の中にある体液の濃度や量の調節、血液の酸性・アルカリ性のバランスの調節にも関わっています。
腎臓と血圧は密接な関係があるので、腎機能が低下すると高血圧を招き、高血圧は腎臓に負担をかけてさらに腎機能を悪化させてしまうということもありえるので気をつけたいところです。
もう一つ、腎臓には血液を作るためのホルモン「エリスロポエチン」を分泌する働きがあります。
エリスロポエチンが骨髄の中にある細胞を刺激することによって赤血球が作られ、血液となって全身に運ばれます。
このように、腎臓は体の機能を維持するためにとても大切な働きをしているのです。
腎臓の病気
重要な臓器である腎臓が悪くなると、慢性腎臓病にかかってしまうことがあります。
慢性腎臓病(CKD)とは
慢性腎臓病とは、慢性に経過するすべての腎臓病のことを指し、成人の8人に1人はいるという新たな国民病ともいわれる病気です。
慢性腎臓病の原因には様々な腎疾患や全身疾患が考えられますが、糖尿病、慢性腎炎、高血圧などが代表的です。
慢性腎臓病は、初めは自覚症状がほとんどないため、気付かないうちに進行してしまい、症状が現れるころには取り返しがつかない状態になっているということもあり得ます。
一度悪くなってしまうと、治療をしない限りは自然に良くなることはありません。
進行してしまうと、次のような症状がみられるようになります。
- 夜何度もトイレに目が覚める
- 靴や指輪がきつくなるなど、むくみやすくなる
- 貧血
- 疲れやすく、常にだるさがある
- 少し動いただけでも息が切れる
このような症状を自覚した時にはすでに慢性腎臓病がかなり進行している場合もあります。
自覚症状のない病気のため、早期発見には定期健診が有効です。
また、もし慢性腎臓病と診断されたら、適切な治療によって病気の進行を遅らせ、末期腎不全に至るのを防ぐ必要があります。
早期発見には血液検査
慢性腎臓病の早期発見には、尿検査と血液検査がポイントです。
・尿検査
腎臓の働きが悪くなると、血液中のタンパク質が尿に漏れ出します。
尿検査で「尿たんぱく」が+になるのは、腎臓の状態が良くないといえるため、精密な検査が必要になります。
・血液検査
血液検査で注目したいのが「血清クレアチニン」です。
血清クレアチニンは、もともと血液中にある老廃物の一種で本来尿に排出されるべき成分です。
ところが、腎臓の働きが悪くなって血液のろ過が正常にされないと、血清クレアチニンが尿に排出されずに血液にたまっていき、結果として血液中の血清クレアチニン値が高くなってしまうのです。
この血清クレアチニン値を測定することにより「eGFR」とよばれる推定糸球体ろ過量を計算することができます。
推定糸球体ろ過量とは、腎臓が老廃物をどのくらい尿に排出することができるかを知るためのもので、数値が低いほど腎臓の機能が良くないということになります。
eGFRのステージは5段階に分かれており、血清クレアチニン値と年齢、性別で算出することができます。
推定GFR(ml/min/1.73㎡)
=194x(血清クレアチニン値)-1.094x(年齢)-0.287(x0.739 女性の場合)
eGFRが90以上であれば正常、89~60が正常または軽度低下、59~30で中等度低下、29~15が高度低下、15未満が末期腎不全です。
正常または軽度低下という結果が出ても、尿たんぱくなど尿検査で異常がある場合には医療機関を受診した方がよいでしょう。
尿検査や腎臓機能に不安があれば当然医療機関の受診が必要ですが、生活習慣の改善や食事療法で悪化を防ぐことも大切です。
腎臓を守る食事
腎臓を守る食事とはどのようなものが適しているでしょうか。
まず心がけたいこと3つが
- 低タンパク
- 塩分控えめ
- カリウム・リンの制限
です。
食事療法は慢性腎臓病治療の基本で、推定GFRが60以下になったら低タンパク食にする必要があります。
タンパク質の多い食事は老廃物が増えて腎臓の負担となり、少なすぎると体内のタンパク質が分解されてしまうことになりどちらに偏っても腎臓に良くありません。
具体的には体重1kgあたり0.8g以下が目安となります。
塩分に関しては、摂りすぎると体に水分がたまってむくみや高血圧の原因となります。
高血圧は腎臓の負担になるため、1日の目安量は3g以上6g未満が理想です。
そして、カリウムやリンの摂取も制限が必要です。
カリウムを多く含む食品は、果物類、いも類、緑黄色野菜類、豆類、乳製品、コーヒー、茶などがあげられます。
症状に合わせて、医師の指示に従いましょう。
また、エネルギー不足も注意が必要になります。
食事で摂るエネルギーが少なすぎると体内のタンパク質が消費されて、その残りかすが老廃物となってたまり腎臓に負担をかけます。
3食きちんと食べ、油脂を適切に使い、でんぷんの多い食品を体重1kgあたり25~35kcal摂ることが望ましいです。
腎臓病を悪化させない、予防するための食事についていろいろ調べてみましたが、慢性腎臓病のための食事は「これを食べた方がよい」という栄養摂取を勧める方法ではなく、「これを制限しなさい」という制限を守る方法がメインのようです。
ですが、どの食材がどんな成分でできているのか、どんな調理法で調理すればよいのか、専門家じゃないので判断が難しいですよね。
そんなとき心強い味方となってくれる本もあります。

食事療法の複雑な条件をふまえて、腎臓病食の特徴を生かした、治療の目的にそった食事ができるように工夫された「腎臓病の食品交換表」(医歯薬出版)
専門的知識はもちろんですが、具体的な献立例もカラー写真付きでわかりやすく紹介されているのでとっても参考になりますよ。
とても制限食とは思えないほど美味しそうなものばかりなので、「治療食だから美味しい物を食べられない…」とがっかりすることはありません!
腎臓病予防についてのまとめ
腎臓病の一番の予防は、規則正しい生活習慣と栄養バランスのとれた食生活です。
万が一、慢性腎臓病の疑いがある場合には、早期発見がとても重要になります。
繰り返しますが、慢性腎臓病の初期段階には自覚症状がなく、気づいたころには手遅れになっているということもあり得るのです。
そのため、定期的に健康診断を受け、尿や血液の状態を検査して自分の腎臓の状態を把握しておくことが大切ですね。
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