川崎病は、乳幼児期に多く発症する、原因不明の病気です。
早期診断と適切な治療で改善が見込める病気ですが、冠動脈障害をおこすと心筋梗塞になるリスクが高くなります。
ここでは川崎病について解説し、治療や日常生活での注意点などについてまとめてみました。
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川崎病とは
初めに、川崎病について説明します。
川崎病は、手足の指先から皮膚がむける症状を伴う小児の「急性熱性皮膚粘膜りんぱ腺症候群」として発表された症候群で、1967年に川崎富作博士が発見したことにより「川崎病」という名前が付けられました。
発症の時期は、1歳をピークに主に4歳以下の乳幼児がかかり、男女差は男子が女子の約1.5倍です。
川崎病の原因
川崎病は、全身の血管で炎症が起って発症することはわかっているものの、未だ原因不明の病気です。
日本人、日系アメリカ人、韓国人などアジア系の人々に多くみられ、夏と冬に集中して発症することから、何らかの感染症的要因と遺伝的要因が関係して発症するのではないかという見方もあるようです。
川崎病の症状
川崎病の症状は次のようなものがあげられます。
・全身に様々な形の発疹が出る
・両方の目が赤くなる(目やには出ない)
・唇が赤くなったり、イチゴ舌がみられる
・病気の初期に手足がはれたり、手のひらや足底が赤くなったりする
・熱が下がってから、手足の指先から皮膚がむける膜様落屑(まくようらくせつ)がある
・片側の首のリンパ節がはれる
上記が主症状ですが、BCG接種部位が赤くなる、関節痛、下痢、腹部膨満などの症状を訴える子供もいるなど、全身の血管炎のためいろいろな症状がみられることがあります。
こうした症状がすべて出そろわない不全型の川崎病もあるようですが、乳幼児期の他の発熱性の病気と比べて重症の場合が多く、いつも元気だった子がぐったりしてしまうことが多いといいます。
このような症状が出ている期間を急性期と呼び、通常1~2週間で回復しますが、症状の強い場合は1か月以上続くこともあります。
この病気の特徴は、急性期の1~2週間を過ぎた後に、心臓に栄養を与えている冠動脈に瘤ができる場合があることです。
川崎病が怖いのはこの後遺症が残る可能性があることで、その割合は全患者の約10%前後だといわれています。
川崎病はうつる?
川崎病はうつる病気ではありませんが、兄弟でかかる場合が1~2%あるといいます。
再発率は2~3%で、体質によるのではないかと考えられています。
体質は遺伝子で決まりますが、環境からも影響を受けるため、この病気のかかりやすさに関係する遺伝子を明らかにする研究が進められています。
川崎病の診断と治療
川崎病の診断と治療についてです。
主な症状のうち、5つ以上がみられた場合と、4つの症状しかなくても冠動脈瘤がみられた場合は川崎病(定型の川崎病)と診断されます。
症状はそろわないものの、他の病気ではないと判断された場合は「非定型の川崎病」となります。
急性期の炎症が強かったり発熱が10日以上続いたりした場合は、冠動脈瘤ができやすくなるので早期治療が必要です。
川崎病の主な治療は、冠動脈瘤の発症を抑える治療で、発症から9日の間に血管の炎症を抑える薬物治療を行います。
熱がある場合は、免疫グロブリンという血液製剤やアスピリンを併用して血管の炎症を抑えたり、血栓を防ぐための治療を行います。
免疫グロブリンでの治療は点滴を用いて行われるため、1週間程度の入院が必要となります。
熱が下がって冠動脈瘤がないと診断されれば、退院できます。
ただし、その後も2~3か月間はアスピリンを服用し、小学校に入学するまでは定期的に心臓の検査を受けることになります。
川崎病の後遺症
川崎病の後遺症についてです。
急性期に冠動脈に瘤ができると、冠動脈障害という後遺症を残し、以後治療の継続が必要になります。
冠動脈障害は、血栓ができてつまったり、血管壁が厚くなったりして血管が狭くなり、心筋に十分な血液がゆきわたらなくなって起こるもので、7ミリ以上の瘤になると心筋梗塞となるリスクが高くなります。
冠動脈の狭窄は、川崎病発症後1~2年と、10年を経過してから出てくる場合が多く、年数がたつにつれ変化していく場合があるので定期的な検査が必要です。
また、冠動脈瘤ができていない人でも、大人になってから血管が膨らんだり縮んだりする機能が低くなっている人が多いことがわかっており、動脈硬化が起こりやすいのではないかという報告もあります。
日常生活や運動などは普段通りに行って問題ないことがほとんどですが、再発に注意し、高血圧や肥満に気を付けるなど血管を傷めないような生活を心がける事が大切です。
川崎病のまとめ
1967年に発見された川崎病は、比較的新しい病気のためにあらゆるデータがまだ十分とは言えません。
後遺症のリスクを避けるためにも、早期発見と早期治療が非常に大切です。
子供が発熱したら、全身症状などをよく観察し、なるべく早く病院を受診することが大切ですね。
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