2017年5月10日(水)のガッテン!は「めざせ健康長寿 大注目の検査はこれだ!」です。
今、健康長寿をテーマに世界の研究者が注目しているのが「慢性炎症」で、これを抑えることが寿命を延ばすヒントになるのではと考えられているとのことなんです。
慢性炎症とはなにか、関係する病気や検査、対処法などマミィが独自に調べたことをお伝えします。
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慢性炎症とは
慢性炎症とは一体どんな症状を言うのでしょうか。
慢性炎症は読んで字のごとく、持続的な弱い炎症がずっと続いている状態のことで、なかなか終息しないのが特徴です。
慢性炎症は体内で起こっている炎症のため、「赤くなってる」とか「腫れてる」など目に見えるものではありません。
しかも炎症部位は元には戻らないので、自覚症状がないまま進行し、動脈硬化やがん、心筋梗塞、糖尿病などの原因にもなる、とても怖い症状です。
慢性炎症の原因
慢性炎症の火種となるのは「腸」です。
腸内で起こった炎症が全身に広がり、生活習慣病の引き金になるんです。
私たちは食べ物から生きていくための栄養を摂っているわけですが、食べた物は腸に集まり、消化・吸収されます。
腸には栄養だけでなく、体に取り込まれた有害物質や毒素なども集まります。
脂質の多いものや添加物を食べ過ぎたり、体内の毒素が増えたりすると、腸はそれらを異物や敵と認識し、腸管を守ろうとして炎症が起こります。
一時的なことなら、体に備わった自浄作用で治っていくのですが、慢性的に続けば細胞が徐々に壊れていきます。
腸で発生した慢性炎症はやがて腸から血管や肝臓、心臓、すい臓、腎臓など様々な臓器へと伝わっていきます。
また、肥満の方は慢性炎症になりやすいといわれています。
バランスの悪い食生活やアルコールの摂りすぎだけでなく、加齢からくる機能低下や不規則な生活、過度なストレスなども慢性炎症の原因になります。
慢性炎症が引き起こす病気
慢性炎症が引き起こす病気には、次のようなものがあります。
1.がん
がんは、正常な細胞の遺伝子が傷つくことで発症しますが、健康な人の場合には免疫機能が働くのでがん化する前に駆除されます。
でも、癌細胞の周りに慢性炎症が起きているとがん細胞の増殖が活発になり、やがて腫瘍になるといわれています。
2.メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームは、全身に広がる脂肪細胞に過剰にエネルギーが蓄積して肥大化することによって発症します。
細胞の肥大化が起こると糖尿病や高血圧、高脂血症といった生活習慣病を引き起こしますが、肥大化した脂肪細胞が慢性炎症を起こしているということがわかっています。
3.排尿障害
1日に何回もトイレに行く「頻尿」や夜中に何度もトイレに起きる「夜間頻尿」、急に強い尿意を感じる「尿意切迫感」、排尿後も尿意の消えない「残尿感」などの排尿障害は、膀胱などの慢性炎症が原因となっている場合があります。
4.アルツハイマー
脳の神経の慢性炎症によってアルツハイマーが発生・進行していくのではないかという研究が近年進められているそうです。
5.動脈硬化
血管壁で発生した慢性炎症が血管の壁を厚くし、柔軟性が失われることで動脈硬化となります。
血管が狭くなると血流が滞るために、脳卒中や心疾患を引き起こすことにもなります。
慢性炎症を発見する検査
慢性炎症を発見するには、血液検査や尿検査が役に立ちます。
血液検査や尿検査は、血液や尿中の様々な成分を数値化して健康状態を調べる検査ですが、炎症を起こしている臓器の周辺では、その臓器の関わる分泌成分の数値が異常値を示します。
血液検査
各項目の数値の高低で、炎症の可能性が予測できます。
・総タンパク
血液中の総タンパク量で、数値が低い場合は栄養障害、ネフローゼ症候群、がんなど、高い場合は多発性骨髄腫、慢性炎症、脱水などが疑われます。
・アルブミン
アルブミンは肝臓で合成される血液蛋白で、肝臓障害、栄養不足、ネフローゼ症候群などで減少します。
・AST(GOT)とALT(GPT)
肝機能に関わる項目で、AST(GOT)は心臓、筋肉、肝臓に多く存在し、ALT(GPT)は肝臓に多く存在する酵素です。
数値が高い場合は急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、肝臓がん、アルコール性肝炎の疑いがあります。
・γ-GTP
γ-GTPは、肝臓や胆道に異常があると血液中の数値が上昇し、アルコール性肝障害、慢性肝炎、胆汁うっ滞、薬剤性肝障害が疑われます。
・総コレステロール
コレステロール値が増えすぎると、動脈硬化を進め心筋梗塞のリスクが高くなります。
高数値の場合は動脈硬化、脂質代謝異常、甲状腺機能低下症、家族性高脂血症など、低数値の場合は栄養吸収障害、低βリポたんぱく血症、肝硬変などが疑われます。
・HDLコレステロール
善玉コレステロールとよばれ少ないと脂質代謝異常や動脈硬化の疑いがあります。
・LDLコレステロール
悪玉コレステロールで、多すぎると血管壁に蓄積して動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞を起こすリスクを高めます。
・中性脂肪(TG)
トリグリセリドとよばれる、糖質がエネルギーとして脂肪に変化したものです。
数値が高いと動脈硬化を進行させ、低すぎると低βリポたんぱく血症、低栄養などが疑われます。
・血糖値(FPG)
血液中のブドウ糖のことで、測定された数値によりブドウ糖がエネルギー源として適切に利用されているかがわかります。
数値が高いと糖尿病、膵臓癌、ホルモン異常などが疑われます。
・HbA1C(NGSP)
ヘモグロビン・エーワン・シーは、過去1~2ヶ月の血糖の平均的な状態を反映するため、糖尿病のコントロールの状態がわかります。
空腹時血糖(FPG)が126mg/dL以上かつHbA1c6.5%以上なら糖尿病と判断されます。
・赤血球(RBC)
酸素を全身に運ぶための赤血球は、数が多すぎれば多血症、少なすぎれば貧血の可能性があります。
・血色素(Hb)
ヘモグロビンは減少していると鉄欠乏性貧血が疑われます。
・ヘマトクリット(Ht)
血液全体に占める赤血球の割合をヘマトクリットといい、数値が低ければ鉄欠乏性貧血などが疑われ、高ければ多血症、脱水などが疑われます。
・MCV・MCH・MCHC
MCVは赤血球の体積、MCHは赤血球に含まれる血色素量、MCHCは赤血球体積に対する血色素量の割合を示します。
MCVの数値が高いとビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血、過剰飲酒が疑われ、低いと鉄欠乏性貧血、慢性炎症にともなう貧血が疑われます。
・血小板数(PLT)
数値が高い場合は血小板血症、鉄欠乏性貧血などが疑われ、低い場合は再生不良性貧血などの骨髄での生産の低下、特発性血小板減少性紫斑病などの体の組織での亢進、肝硬変などの脾臓でのプーリングが疑われます。
<特に炎症に関係する項目>
・白血球(WBC)
白血球は免疫に大きくかかわるため、細菌感染症にかかっているたり炎症があったり、腫瘍があると高数値になりますが、どこの部位で発生しているかまではわかりません。
また、低いとウィルス感染症、薬物アレルギー、再生不良性貧血などが疑われます。
・CRP
細菌やウィルスに感染する、がんなどにより組織の傷害がおきる、免疫反応障害などで炎症が発生したときなどに血液中に増加する急性反応物質の1つがCRPです。
CRPは通常0.30以下ですが、それ以上になると細菌・ウィルス感染、炎症、がんなどの疑いがでてきます。
尿検査
各項目の数値の高低で、炎症の可能性が予測できます。
・尿酸(UA)
尿酸は、たんぱく質の一種であるプリン体という物質が代謝された後に残る物質で、数値が高いと高尿酸血症が疑われます。
高い状態が続くと、結晶として関節に蓄積していき、突然関節痛を起こして痛風を発症したり、尿路結石ができやすくなります。
・クレアチニン(Cr)
クレアチン代謝の老廃物で、筋肉量が多いほどその量も多くなるため、基準範囲に男女差があります。
腎臓でろ過されて尿中に排泄されますが、数値が高いと、腎臓の機能が低下しているということになります。
内臓の状態は見て確かめることはできませんが、このように血液検査や尿検査の数値から炎症の可能性を探ることができます。
血液検査や尿検査の結果表の見方をマスターして、炎症の兆候を見逃さないようにしましょう。
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健康長寿のカギ【テロメア】
健康長寿のカギを握っている物質として、【テロメア】に注目してみます。
テロメアは、細胞の核にある染色体の末端の部分で、遺伝子としての働きはありませんが、他のDNAを保護していると考えられる部分です。
人の体は細胞分裂を繰り返していますが、分裂のたびにテロメアは短くなり、限界に達すると分裂が停止します。
これが細胞の老化だと考えられており、細胞の老化はつまり体の老化を意味します。
テロメアが短くなると、細胞の老化が促進されるだけでなく、生きた細胞の成長と分裂が止まるため、体内組織の再生や自己修復する能力が制限されてしまいます。
その結果として、老化細胞の蓄積が促進されて慢性炎症が悪化し、組織の再生が抑制され、老化がさらに加速してしまうのです。
こうしたことから、テロメアが長ければ長いほど健康長寿でいられることがわかったわけですが、慶應義塾大学の研究で、テロメアの長い長寿者は慢性炎症も極めて少ないことがわかったといいます。
テロメアの長さは遺伝的要素もあるとはいいますが、長い人たちは「短くなりにくい」のです。
だから、長寿家系じゃなくても、テロメアの短くなる速度を遅くすれば、誰でも健康長寿が可能となるわけなんですね。
テロメアの短縮速度を遅らせるには、慢性炎症を抑えるための生活習慣がとても大切になります。
慢性炎症を抑えるためのポイント
慢性炎症を抑えるためのポイントを紹介します。
最初に、慢性炎症の火種は腸にあるといいました。
だから、腸を健康を保つことが、慢性炎症を抑えるポイントになるといえます。
腸は、人間の体の中で脳の次に多くの神経細胞が集まることから「第二の脳」と言われています。
また、赤ちゃんがお腹にいる時、一番初めに作られる臓器が腸です。
腸が私たちにとっていかに重要な臓器であることがおわかりいただけたでしょうか。
では、腸を健康に保つには具体的にどうしたらいいかということですが、それは「善玉菌」と呼ばれる腸内細菌を増やすことが大切になります。
善玉菌が多い腸は、消化吸収が良くなるだけでなく、毒素の排出もスムーズに行うことができます。
また、腸は全身の免疫機能が集まるところなので、腸内環境が整っている体は免疫力も高く、病気を寄せ付けません。
もちろん、炎症が起こってもすぐに治すことができます。
善玉菌を増やすためには、一番重要なのは食事です。
腸内細菌や善玉菌を増やす食事については、詳しく解説した記事がありますので参考にしてください。
関連記事:あしたも晴れ!人生レシピで放送の【腸内細菌】の力を活用して美と健康を
また、肥満の方は慢性炎症になりやすいため注意が必要です。
他に気をつけたい生活習慣は、ストレスをためない、十分な睡眠をとる、暴飲暴食をしない、運動するなど、一般的に「健康に良い」とされていることを心がければよいでしょう。
慢性炎症 まとめ
慢性炎症について、
・始まりは腸である
・血液検査や尿検査である程度の炎症の有無が予測できる
これらのことがわかったので、腸内環境を良くする生活を心がけ、検査で数値が高い項目があれば特に気を付けた生活に改めることを心がければ、対処はできると思います。
大きな病気に発展する前の、小さなサインを見逃さないようにしましょう。
ちなみに生活習慣に不安がある人や、原因不明の体調不良がある人は、もしかしたら酵素不足が原因かもしれません。
腸内環境を整え、小さな不調を改善するには、第一に酵素の補給が効果的です。
別記事:酵素はすべての健康をつかさどる!おすすめの酵素はコレ
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