現代病として子供の肥満はクローズアップされる機会は多いですが、それと同じくらいに深刻化しているのが子供の痩せ過ぎです。
生まれつき小柄、食べても太れない、何らかの疾患がある、精神的なものなど、ヤセ過ぎの原因となる要素は大人が思う以上に複雑で、対処法も異なります。
ここでは、子供のやせ過ぎをどうしたら克服できるかについて、原因別に探っていきたいと思います。
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子供の痩せすぎについて
まず、子供のやせ過ぎについての現状をお伝えしたいと思います。
食生活豊かな現代では、子供の肥満に注目が集まりがちですが、その一方で子供のやせも深刻化しており、肥満とヤセは二極化しているとさえいわれています。
少し前のデータですが、平成9年度の学校保健統計による全国での痩身傾向児の出現は、男子は10歳、女子は12歳で最も多くなっています。
痩身傾向児の出現率も小学校入学時では1%以下であるのに、学年が上がるにつれて上昇していきます。
特に注目したいのが、肥満の場合は男子が一貫して高率なのに対し、やせは女子が突然12歳(6年生)で顕著に高率となり、この傾向が14歳、つまり思春期いっぱい続くということです。
こうしたデータから見ると、子供とくに女児のやせは、精神面とのつながりが深いのではないかということがうかがえます。
子供が痩せ過ぎる原因
子供が痩せ過ぎってしまう原因を探っていきましょう。
子供が太れない、ヤセ過ぎの原因には次のようなことが考えられます。
・少食
子供がやせ過ぎなのは、もともとの食べる量が少なく、成長に必要な栄養素が十分足りていないことが原因かもしれません。
体格などの関係で食事の量が十分に摂れないというような場合には、少しずつでもいいので回数を分けて食べさせるようにするといいでしょう。
・朝食欠食
朝食欠食の子供が増えています。
朝ごはんを食べないと、栄養不足になるばかりか、午前中にエネルギー不足となり気力や集中力が欠損し、学校生活にも支障をきたします。
成長期にある子供には特に、朝ごはんを食べることは非常に重要です。
朝食を食べない理由として多いのが、時間がない、食欲がないことなどですが、これは夜更かしによる睡眠不足や多すぎる間食などが原因として考えられるため、生活習慣の見直しから取り組む必要があります。
・間食
間食の摂りすぎもまた、食事量の低下を招き、痩せの原因となることもあります。
大人にとって間食は肥満のもとですが、子供の間食は肥満だけでなく痩せの原因になることもあります。
間食といえば、お菓子など糖分や脂肪分、水分の多い食べ物ですね。
こういうものはカロリーばかり高い割に、ビタミンやミネラルなどの栄養素は微量です。
感触でおなか一杯になってしまうと食事の時間にお腹が空かず、本来食事で摂るべき栄養素が十分摂取できなくなります。
現代型栄養失調やかくれ栄養失調ともいわれるのですが、カロリー量だけでは体を維持することはできません。
やせ過ぎていて間食の多い子供は注意すべき点だといえます。
・病気
胃腸や消化器系に疾患があると、十分な食事をしているにもかかわらず、体重に反映されないという場合があります。
内臓系の病気は、本人の自覚なしに発症・進行することもあります。
食生活や生活習慣に特に問題がないのに、子供の体重が増えていかないという場合には、医療機関を7受診してみることも必要かもしれません。
女子に深刻な思春期やせ
精神的な要因が深い、女子の思春期やせについてです。
小学生女子の多くが、自分の体型について「太っている」と答えるといいます。
BMIやローレル指数など客観的判断材料から見れば標準体形であるにもかかわらず、自分を「太っている」と思い込んでいる子供が多いことが問題になっているのです。
これは、テレビやネット、雑誌などの「やせ信仰」やモデル人気など、メディアの影響が多いと考えられています。
思春期は、周りからの視線を過剰に気にする傾向があり、対人関係も複雑になっていくことから自己否定の気持ちが強くなったりします。
親として、先輩女性として次のようなことを示してあげることが大切です。
・3食きちんと食べること
食事を適量しっかり食べ、間食をしなければ極度に太る心配はありません。
・規則正しい生活をすること
体内リズムに沿った、早寝早起き適度な食事、運動などを心がけていれば、自然と自分の本来の適正体重を維持できます。
・女性には妊娠出産のための体づくりが大切なこと
女性には将来、妊娠出産という重要な役目があり、その準備の時期にきちんと体を作っておくことが大切であることを教えてあげてください。
・やせている=美しい、わけではない
細ければ細いほど美しいとされていた時代もありましたが、現代はむしろ、健康的な美しさこそ、女性の美だという認識が高まっています。
美に興味関心が出てきた年齢の女の子と、「本当に美しい女性」について一度親子で話してみるのも、子供に何か気付きを与えるかもしれません。
本来成長期である思春期に、間違ったやせ願望によって体重増加しないあるいは激ヤセしてしまうと、摂食障害という重い病気を誘発する原因にもなりかねません。
親だけでは子供を説得しきれないような重大な事態になってしまったら、学校の養護教諭や小児科の先生など外部の専門家に相談することも時には必要になります。
子供のヤセ過ぎ対処法
やせ過ぎの子供に効果的な対処法について、いくつか挙げてみたいと思います。
・運動
現代の子供に多いのが、運動不足による食欲不振です。
運動不足は肥満の原因にもなりますが、ヤセ過ぎの原因にもなるのです。
運動すればカロリーを消費するので、お腹が空きます。
お腹が空けば、当然食欲も出てくるのでたくさん食べることができるようになります。
ここでお菓子などでごまかさず、食事をたっぷりとるようにすれば、ヤセは解消していきます。
また、運動で筋肉を発達させることも、痩せ解消には効果的です。
・胃腸を強化
すぐお腹を壊すなど、胃腸が弱いと食べても栄養を吸収できません。
刺激物や冷たいものを避け、消化の良いものや発酵食品を多く摂るなど食生活に工夫をするとよいでしょう。
・虫歯治療
子供が食べられない原因は、意外にも虫歯や口腔内のトラブルが原因のこともあります。
虫歯が痛かったりかみ合わせが悪かったりすると、十分に咀嚼できないので胃に入っても消化されにくくなってしまいます。
・ストレスをためない
現代の子は大人に負けないくらい、ストレス過多です。
習い事や友達関係、勉強のことや家族のこと、親が思う以上に子供たちは日々ストレスと戦っています。
子供の様子が変だなと感じたり、食欲だけでなく元気もないようなら、子供に話を聞いてあげてください。
親に話さないようなら、学校の先生やスクールカウンセラーの先生に相談するという手段もあります。
子供のやせ過ぎ まとめ
子供の痩せすぎ問題は、肥満問題に比べて軽視されがちです。
でも、成長期に健全に発達をしないと、大人になってから様々な疾患を抱える原因になってしまいます。
見た目にはそれほど痩せすぎを感じないようでも、体内では栄養失調状態にあるような場合もあります。
学校での健康診断結果に注意するだけでなく、子供の様子などにも気を配って、健やかな成長を見守りたいですね。
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