不登校新聞は、1998年創刊の日本唯一の不登校・ひきこもり専門紙です。
不登校に関わる情報発信を通じて、子どもに関わる問題や、子どもの権利、ひきこもりや社会のあり方を考えていこうというコンセプトで、毎月2回月額820円で紙版、WEB版が発行されています。
情報が少なく、同じ悩みを持つ人たちとの交流が難しい不登校やひきこもりについて、当事者や経験者の生の声がたくさんつまった、とてもめずらしい新聞です。
スポンサーリンク
不登校新聞について
「当事者の声に寄り添う」をモットーに不登校・ひきこもり当事者経験者の声を掲載してきた不登校新聞についてです。
1997年、夏休み明けに学校に行くのをためらったと思われる子供が焼身自殺をしました。
別の学校では「学校が燃えれば学校に行かなくてすむと思った」という理由で学校を放火した子供がいました。
このような事件を受け、「学校に行くか死ぬかしかないという状況を変えたい」と願った人たちが創刊したのが「不登校新聞」です。
不登校やひきこもりの経験者・当事者が企画、執筆、取材を行う子ども若者編集部では、現在90人が活躍しているとのこと。
そのため、当事者にしかわからない悩みや不安、気持ちなどに寄り添った内容になっているのです。
これまで不登校やひきこもりに関することの多くは、心理カウンセラーや教育評論家によって語られてきました。
でも、実際に今、不登校やひきこもりに直面している家族にとってそういった正論は現実味がなく、当事者が本当に欲しい情報はどこにもなかった中で、この不登校新聞では同じように悩む人たちの体験を読むことができます。
当事者が持つ不安を解消するヒントが得られたり、不登校の子供を持つ親同士の交流の場になったりと、タブー視されがちだった不登校に真正面から取り組んでいるところも、注目されている理由なのです。
不登校の原因は一つじゃない
不登校の原因は単純なものばかりではありません。
いじめをきっかけに不登校になった子供もいれば、勉強の遅れや教師との関係がうまくいかなかったりして学校に行けなくなる子もいます。
また、不登校やひきこもりになった子供が親にも何も話してくれないと、親もどう対処していいかわからず、八方ふさがりになってしまうことも。
そんな時、子供にも親にも救いの存在となるのがこの新聞です。
この新聞には1000人以上の当事者の生の声が掲載されてきた実績があるので、自分と似た境遇や共感できる声がどこかにあると思います。
もちろんバックナンバーも読むことができます。
他の不登校の子供や乗り越えてきた人たちの中に、不登校の苦しみから逃れるための何かしらのヒントが見つけられるかもしれません。
不登校は問題行動ではない
2016年9月、文部科学省は「不登校は問題行動ではない」という趣旨の通知を出しました。
不登校については、取り巻く環境によってはどの児童生徒にも起こり得ることとしてとらえる必要があるとして、不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭し、家庭や学校、地域が連携して支援をするべきとの見解を示しています。
こういうことを文科省が率先して提言してくれたことは、やむを得ない理由で不登校になってしまった子たちに大きな安心を与えたと思います。
とはいえ、いくら上が理想の学校像を示しても、現場である学校ではなかなか理想通りには行きません。
一度不登校になってしまったらもう終わり、というのではなく、周りが温かく見守ったり支援の手を差し伸べたりしてその子供がいつでも復帰できるような体制を、社会全体で作って行けるような流れになるといいですね。
不登校、何が心配?
子供が不登校になってしまったら、親として何が心配ですか?
先ほどにも述べましたが、不登校は問題行動ではないんです。
なので、「不登校を改善させる」のではなく、不登校によって生じる不安や問題を解決してあげることを考えてあげましょう。
・生活リズムの乱れ
ひきこもりの子に多いのは、生活リズムの乱れによる夜型行動です。
こうなると家族と生活パターンが逆転するので、顔を合わせることもなくなってしまいます。
顔を合わせず、家族とすらコミュニケーションがとれなくなることは、成長期の子供にとって良いこととは言えません。
不登校になってしまっても、せめて朝起きて夜寝る、という約束はしたいものですね。
また、朝なかなか起きられず、起きても調子が悪いと訴える子の中には、起立性調節障害という病気が隠れていることがあります。
サボリだと思って毎朝無理やり起こしていたのに一向に言うことを聞かない子が、実はこの病気のために朝起きられなかったのだ、という話もあります。
可能なら子供と一緒にカウンセリングなどに行って、一度専門的知識から不登校の原因を探るアドバイスをもらうのもひとつだと思います。
・勉強の遅れ
勉強したいのに、何らかの理由で学校に通えなくなったとき、一番つらいのは本人ですね。
学校自体に原因があるときは、無理に登校を勧めるよりも、塾や家庭教師で勉強させてもよいのではないでしょうか。
また、数自体は少ないですが、フリースクールのようなところも全国にあります。
不登校など、本来行くべき学校に通えなくなった子供の、再学習を支援する場所です。
本人に学習の意欲があれば、親としては応援してあげたいですね。
・人とのコミュニケーション不足
学校に行かなくなると、その子が接するのは家庭という狭い世界だけになります。
多くの人、いろんな考えを持った人と接してたくさんのことを学ぶべき時期に一部の人としかかかわりを持たない状況は、その子の今後の人生にとても大きな影響を与えます。
たとえ学校に行けなくなっても、習い事へは行けるようならぜひ続けさせましょう。
ひきこもりの子のためのキャンプや自立支援のイベントなど、調べればたくさんあります。
学校にいけなくても、人と人とのかかわりやつながりをもっていれば、自分は一人じゃないんだ、世界はここだけじゃないんだという前向きな気持ちを持つことができます。
まとめ
今はネットでどんな情報も簡単に検索することができます。
もしかしたら、不登校やひきこもりの子供だって、自分と同じような環境の人同士が集まるネット上のコミュニティに参加しているかもしれません。
それが悪いとはいえませんが、同じ境遇の人が集まって現況を嘆いたり、将来について理想を語り合ったりしても、先に進むことは難しいです。
不登校新聞のように、同じ経験をしてきた第3者が客観的視点から不登校について書いた記事には、説得力があります。
対面で取材してきた記事の内容には、リアルな情報があふれています。
もし、自分の子供や、子供の不登校に悩むママ友がいたら、こういう新聞があるよということを教えてあげるだけでも、何かのきっかけになるかもしれません。
スポンサーリンク