眠育のメリット「学力UP・不登校改善に効果的」学校に広がる睡眠教育

眠育

眠育とは、睡眠の働きを正しく理解し、規則正しい生活習慣を身につけるための「睡眠教育」です。

とくに小学生・中学生の発育期にある子供の睡眠不足は、学力の低下や不登校につながりやすいことが指摘されています。

子供にとって睡眠がなぜ大切なのかをまずママがちゃんと理解して、家庭でも眠育に取り組んでいきましょう。

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子供に睡眠が必要なのはなぜ?

「寝る子は育つ」と言いますが、子供にとって睡眠はどのような役目を果たすのでしょうか。

1.自律神経を整える

自律神経というのは、体温の調節とか、呼吸とか、人間が生命活動を維持するための機能です。

睡眠中は副交感神経が優位に働き、体を休めて日中の活動に備えるのです。

また、体内時計も整うので、早寝早起きが自然とできるようにもなります。

2.休息

子供は1日中、よく動きます。

動いた後は当然、体を休ませて体力を回復させなくてはなりません。

体を休めて体力を回復させるとともに、壊れた筋肉や細胞の修復なども睡眠中に行われます。

3.成長

睡眠時には成長ホルモンが大量に分泌されます。

成長ホルモンは字の通り、子供の成長に大きくかかわっているホルモンで、背が伸びたり体の機能が発達したりするためにとても大切な役割をします。

肉体的な成長だけでなく、脳細胞も睡眠時に増えるため、心と体の成長と睡眠は切っても切り離せないというわけなのです。

4.ストレスの軽減

睡眠は精神が解放されるのでストレスへの耐性を高めてくれるものです。

睡眠不足は、うつ病のきっかけとなったり集中力が途切れやすくなったりする原因になることもあります。

脳は起きているだけでも疲労が蓄積していくため、睡眠によって回復させる必要があるのです。

5.記憶の整理

起きている時、私たちの脳にはたくさんの情報が入ってきます。

莫大な情報を睡眠時に整理しているので、徹夜で試験に臨むよりも、夜きちんと寝てから試験を受ける方が良い結果を残せるといわれています。

 

このように、睡眠にはたくさんの役割があります。

子供にとっての睡眠が、子供の成長と切っても切れない関係があることがおわかりいただけたんじゃないでしょうか。

子供の睡眠不足が続くとどうなるか

では、子供の睡眠不足が続くとどうなってしまうのか、ここでは具体的に生活に支障をきたすような場面を取り上げて説明したいと思います。

1.発育不全

きちんと睡眠時間を確保できないと、睡眠中に分泌されるはずの成長ホルモンが働けなくなり、発育不全の状態になってしまいます。

2.日中の集中力不足

夜寝る時間が少ないと、昼間に眠気がくるので集中力を欠いたり、イライラしやすくなったりします。

すると授業にも身が入らず学力低下を招いたり、注意が散漫になって思わぬ事故につながる可能性も出てきます。

3.肥満

寝不足によって自律神経が乱れ、食欲をコントロールするホルモンが正常に働かなくなったり、基礎代謝が低下してエネルギー消費量が減ったりすることが、肥満につながることもあります。

また、遅くまで起きていることでお腹が空き、夜中にスナック菓子などを食べてしまうことが多いのも、夜更かしが肥満につながる原因です。

4.病気にかかりやすくなる

睡眠不足だと体を回復させる時間が足りなくて、免疫力が低下することがあります。

免疫力が低下すると、風邪をひきやすくなったり、ケガなども治りにくくなってしまいます。

 

大人もそうですが、睡眠不足が続くと体がだるくなり、無気力になっていきます。

心と体が大きく成長する時期に睡眠不足が原因で起こる影響は、大人が受けるよりも大きいものです。

そこをもう一度正しく理解して、子供の睡眠を考えてあげましょうね。

眠育普及のパイオニア・前田勉さん

前田勉さんは、福井県を拠点に子どもの生活リズム向上について研究、各地で講演しているNPO法人里豊夢わかさの理事長です。

前田さんは小学校の元校長先生ですが、眠育に取り組み始めたきっかけは、自分の教え子たちが中学に進学したあと、急に不登校になるケースが相次いだことでした。

 

そこで不登校について詳しい医師に相談すると、睡眠不足との関係を指摘されたということです。

前田さん自身も実際に調査してみると、不登校の多い学校・少ない学校とで睡眠時間が明らかに違うことがわかり、「不登校と睡眠は関係がある」と確信したことから、現在も各地で講演を行い、眠育を広めているそうです。

 

ところで、「●育」と聞いてまず思い浮かぶのは「食育」ではないでしょうか?

食育に熱心な学校はたくさんありますが、眠育はあまり聞き慣れない言葉ですね。

でも前田さんは、食育の前に眠育を取り入れる必要性についてこうおっしゃっています。

 

「朝食を食べて登校することの重要性をどんなに教えても、子供が朝、食欲がわかないというのであれば、教える以前の問題になってしまいます。

夜遅くまで起きているから朝登校時間ぎりぎりまで寝ている、目覚めてすぐには食欲がわかないから朝食が食べられない、こういう悪いサイクルが出来上がってしまうのが問題なのです。」

だから食育以前に眠育に力を入れることが、子供の規則正しい生活には大切なんですね。

お昼寝のある学校

まだまだ数は少ないですが、昼休みに「午睡の時間」を取り入れている学校もあるようです。

宮城県にある大和町立吉岡小学校では、2014年からお昼寝タイムを導入しています。

  1. 午後の授業の理解を助け,学習意欲を育て,基本的な生活習慣の育成・生活のリズム向上を目指す
  2. 午睡の導入により,夜の睡眠につながることを目指す

という目的で、昼休みに15分間、全校で(先生も!)机で昼寝をします。

最初は「昼休みが減って嫌だ」という児童もいたようですが、今では

  • 病気になりにくくなった
  • 授業に集中できるようになった
  • 時間をも守るようになった
  • 目がスッキリして午後の行動がテキパキできるようになった

など、子供たち自身がその効果を実感しているようです。

 

また、茨城県石岡市の市立小桜小学校でもお昼寝の取り組みが行われていて、軽い睡眠が児童に及ぼす効果などの研究を進めているということです。

お昼寝は赤ちゃんがするもの!と今まで思っていましたが、自治体をあげてこうした取り組みが行われていることを考えると、将来的に小学校でもみんなでお昼寝!なんて日が来るかもしれません?!

睡眠不足の原因と生活習慣

睡眠不足は生活習慣に大きく関係しています。

現代の子供たちは塾や習い事に大忙し。

帰宅が9時10時なんて子供も珍しくないようです。

それから宿題したり食事をしたり、お風呂から上がったころには12時近くになってしまっているなんてことも。

 

また、ゲームやスマホをいつまでも触っているとか、遅くまでテレビを観ているなんて子も、中にはいるかもしれません。

こうした夜型の生活習慣が睡眠不足につながり、睡眠不足が体の不調や無気力を引き起こし、不登校や学力低下を招く一因になっているのです。

学齢が上がるとどうしても忙しくなってしまいますが、子供の睡眠時間は確保してあげたいですね。

 

「早く寝なさい!」と注意するよりも、早く寝るための行動におしりをたたいた方がよさそうです。

学校から帰ったらすぐ宿題を済ませる、塾や習い事の頻度やペースを見直す、テレビやゲームの時間を決めるなど、ママが協力して子供の時間を作ってあげましょう!

まとめ

「今更9時なんかに寝れないよー(>_<)」っていう子も多いかもしれませんが、子供の成長には食事と同じくらい、睡眠が必要なんです。

これから迎える冬休みこそ、生活リズムを立て直すチャンス!

昼間思いっきり遊んで宿題して動き回ってれば、夜は意外にもすっと寝られてしまうもの。

睡眠の大切さを親子でしっかり話し合って、家庭でも眠育を取り入れていきましょうね★

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